腸内細菌と老化・免疫の話
●腸内フローラ

健康な人の腸内には400種類を越える、総数で約100兆個もの腸内細菌がバランスよく棲みついています。人間の体を構成している細胞数は、約60兆個といわれてますので、いかに多くの最近が繁殖しているかがわかります。
特に小腸の終わりから大腸にかけての様子は、花畑にたとえて「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラとはまさに、腸内の花畑のように腸内細菌がびっしりと敷き詰められている状態なのです。
腸内フローラに住んでいる腸内細菌は、一生私たちと生活を共にする生物集団ですが、腸内フローラを構成する腸内細菌には有有効菌とも呼ばれる善玉菌と、その逆の働きをすることが多い悪玉菌とに分けられます。有効菌は様々な形でヒトの生命活動、とりわけ免疫機能にかかわっています。
●老化と腸内環境の関係
腸内細菌の種類と数を年齢ごとに追ってみますと、乳幼児に多いビフィズス菌が老年期になると、少なくなり、逆に腐敗菌などの有害菌が増え有害菌優勢の状態になります。同様に、健康な人の腸内を調べてみますと、ビフィズス菌をはじめとする様々な細菌が、バランスよく棲みついています。しかし、健康が損なわれると、とたんに、そのバランスが崩れ、特に大腸菌などの有害菌が増加してきます。有害物質を作る細菌が増加し、ますます老化が促進されます。
つまり人間が健康であるためには、腸内細菌のバランスが大切なのです。
●美容も腸内環境から〜内なる外

人の消化管の長さは11mにも及び、そのうち小腸は6〜7m、大腸は1.5mほどの長さがあります。小腸の壁には絨毛(じゅうもう)と呼ばれ、その数3000万本にも及ぶ細い突起があり、腸にたどりついた消化物はこの突起から吸収されることになります。栄養を吸収する絨毛を平らに延ばして表面積を合計すると400平方メートルほどになり
なんとテニスコート2面分もの表面積でわれわれは養分を吸収していることになります。
男性の場合、体表面の皮膚の面積は1.6平方メートルほどですから、小腸の表面積は皮膚の250倍もあるのです。
さて、消化管は口と肛門で外部に解放されている、いわば1本の筒のような構造をしていますから、消化物も腸から吸収されて初めて体内に入ったことになります。これが、腸内が「内なる外」と言われるゆえんです。
そのように、とらえた場合、皮膚は消化管の延長と考えることができます。便秘などにより、腸内環境が悪化すると、吹き出物などのぶつぶつができやすくなりますが、これらの構造を考え合わせると、
腸内環境悪化--便秘--腸内で有害物質が吸収--皮膚へ影響
というように、全てが関連していることが、構造から理解いただけると思います。
腸内環境悪化の影響が「地続き」の皮膚に表れる、
つまり、美容や皮膚のお手入れを考える場合に、腸内環境の手入れも欠かせない条件であることがお分かりいただけたと思います。
●腸内細菌と免疫の関係
腸内細菌の中でもビフィズス菌などの善玉菌は、近年、老化やガンの予防効果があることが判明し、免疫力に大きな影響力を持っているという事実も、医学的に証明されてきました。さらに腸の壁を通してビフィズス菌との情報をやりとりしていて、その結果、免疫力が影響を受けているということまでが判明してきました。

そう考えますと、人間の免疫力を支えているのは、実はビフィズス菌などの有効菌であるということがいえるわけです。逆に腐敗菌などの善玉菌は免疫力を低下させると考えられています。感染症や、ガンの予防の意味からも、善玉菌が優勢な腸内環境が必要なのです。
●おならとうんち
腸内環境のバロメーターとなるのがオナラと便です。
腸内には100ccほどのガスが常に滞留しており、正常な状態でも食物が腸内細菌によって発酵し、数百CCから2リットルほどのガスが発生し、オナラとして、或いは便に混ざるなどして放出されます。その中でも、

においのきつい、臭いおならの元となるものは、わずか1%未満のインドール、アンモニア、スカトール、フェノールなど、有害菌が腸内物質を分解して生成された成分で、腸内環境が崩れていて異常発酵が進んでいる証拠です。
ところで、腸内環境が良好なときは、驚異的な速度で腸内菌が増殖するために、便のほとんどは増殖して養分がなくなって死滅した、腸内細菌の死骸なのです
色、形、重さ、匂い、固さがそろったウンチが好ましく、軽くて水に浮きやすくなるのです。
また、有効菌が多いと乳酸がたくさん生産され、腸内のPH(アルカリ度)が低下し、ウンチに含まれるビリルビンという胆汁色素が黄色く発色し、黄色いウンチになります。逆に真っ黒く水に沈むようなウンチは腸内の有効菌の正常な発酵が行われておらず、さらに腸内で出血して、色が濃くなっている可能性もありますので注意が必要です。
さて、これまでの話で、腸内環境の悪化は免疫力の低下を招き、老化とも深い関係があるということがお分かりいただけたと思います。
便秘と腸内細菌
便秘の悩みを抱える女性が多いようですが、意外と知られていないのが、便秘によって腸内細菌のバランスが崩れてしまうという事実です。
腸内フローラの状態は免疫そのものに影響するだけでなく、便秘をすると腸内で水分がより多く吸収され、発ガン物質の濃度も高まるのです。
発ガン物質が長時間、腸壁に接触することは、つまり発ガンの機会が増えるということにつながるのです。かといって、下剤などで強制的に排便を促すことは、これまた腸壁を傷つけたり、腸内細菌のバランスを崩すことになります。
腸内環境が整っていれば善玉菌が多く、乳酸が多く生産され、腸が適度に刺激を受けてぜん動運動で排便が促されます。そして、発ガン物質を含んだ食物や便であっても、吸収される前に速やかに排出されることで、ガンの予防につながるのです。
「自然なお通じ」とは、何よりも腸内細菌のバランスをとった状態を実現させた上での、ごく自然な排便の事なのです。
年齢とビフィズス菌
ここでは、有効菌の代表であるビフィズス菌について更に詳しく見てみましょう。
ビフィズス菌などの乳酸菌はヒトの腸の中で様々な働きをしており、それは年齢や腸内環境、あるいは個人の菌の種類によって働きもまったく異なります。そこで大切なことは、その人が生まれてから、腸内に棲みついている善玉菌や悪玉菌のバランスなのです。
年齢とビフィズス菌
赤ちゃんは無菌状態で生まれてきますが、出産後数々の細菌に汚染されはじめ、離乳食等に含まれる有害菌などが腸に繁殖しだすため、便が次第に臭くなってきます。ビフィズス菌も出産後に雑菌に混ざって体の中に入ってきて腸内細菌に住みつきます。赤ちゃんのビフィズス菌は腸内菌の95〜99%も占めているといわれています。その後の腸内細菌の種類と数を年齢ごとに追ってみますと、図のように乳幼児には多かったビフィズス菌も老年期になると少なくなり、逆に有害菌が優勢になります。そして健康が損なわれると、とたんに腸内バランスが崩れ、有害菌が更に増加してきます。
ビフィズス菌などの有効菌は15%位の割合で腸内に存在しないと、人間は健康を維持できないと言われ、有害物質を作る有害菌が増加すると、ますます老化が促進されるというわけです。
まさに、老化は腸から始まることがわかります。
老化からすべての不調が始まるとすれば、腸を善玉菌優勢にすることが、健康の早道であり王道になります。
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